タイ不動産情報センター(REIC)が5月27日に発表した最新データと、パタヤ在住の不動産管理会社AMS(Tasty運営)が6月9日に公開した市場レポートを元に、今のパタヤのコンドミニアム市場を整理します。買う・売る・借りるのいずれを検討している在住者にも役立つ内容です。
何が起きているのか——3行まとめ
- 中国人バイヤーが大幅に減少し、パタヤ市場が構造的に変化しつつある
- ロシア人バイヤーが急増し、高額現金購入でハイエンド市場を支えている
- 雨季・低シーズン・高航空運賃が重なり、短期賃貸市場は厳しい状況が続く
中国人バイヤーが17%減——「投資目的」から「居住目的」へ
2026年第1四半期の全国外国人コンドミニアム移転件数は3,214件で、前年同期比17%減少。バンコク周辺は35%の急落。チョンブリは比較的底堅いものの、市場全体が軟化しています。
背景には中国国内の不動産不況・流動性の低下があります。かつてパタヤのコンドを「投資商品」として購入していた中国人バイヤーが撤退し、売りに出る物件が増加。その結果、外国人枠(フォーリン・クオータ)の物件が相対的に割安になっており、買い手にとっては交渉余地が広がっています。
ロシア人が第2位に急浮上——現金一括で高級物件を購入
ロシア人は2026年第1四半期に383件の移転を記録し、前年比33%増。移転総額は68.7%急増して16億7,000万バーツに達しました。件数より金額の上昇幅が大きいことは、ロシア人バイヤーがより高額な物件に移行していることを示しています。
AMS( REIC統計)のレポートによると、ロシア人の特徴は「現金一括払いの比率が特に高い」こと。ウクライナ戦争以降、欧米の金融制裁を避けながら海外不動産を確保する動きが続いており、タイはその受け皿になっています。パタヤでは海沿いの高級コンドや、ジョムティエン・プラトゥムナックのプレミアムエリアでのロシア人購入が目立っています。
チョンブリはユニット数でトップ——全体の36%
場所別では、バンコクが移転総額でトップ(61億4,000万バーツ・全体の45.63%)。しかしユニット数ではチョンブリが1,167件と全外国人取引の36%を占め、パタヤへの需要が引き続き根強いことを示しています。
賃貸市場は「ライフスタイルインフラ」が鍵に
AMS(6月9日レポート)によると、短期観光客向けの賃貸市場は厳しい状況が続いています。雨季の到来・高止まりする航空運賃・欧州からの旅行者減少が重なり、短期滞在の空室率が上昇。
一方で年間契約ベースの長期入居者の需要は安定しています。特に恩恵を受けているのが、スーパーマーケット・カフェ・日常利便施設に徒歩圏内の物件です。AMS調査によると、こうした「ライフスタイルインフラ」に近い物件は、そうでない物件より空室率が25%低い傾向にあります。
また、デジタルノマドや長期滞在外国人向けに3か月〜1年の中期賃貸プランを提供するオーナーが増えており、短期観光客依存から長期居住者へのシフトが進んでいます。
「タイクオータ(TQ)」物件のローン審査が難関
AMS(6月9日レポート)が「警告レベルの問題」として指摘しているのが、300万バーツ以下のタイ人向け物件(タイクオータ)でのローン審査状況です。この価格帯の住宅ローン申請の約70%が否決されており、流動性が極めて低い状態が続いています。これはタイ人の購買力の低下を示すものでもあり、市場全体の底上げには課題が残ります。
日本人在住者にとってのポイント
コンドを買いたい方 中国人バイヤーの撤退で外国人枠の割安物件が増えています。特に「売り急ぎ」の物件では値引き交渉の余地が大きく、現金で即決できるバイヤーは有利です。ただしロシア人バイヤーがハイエンド市場で競合しており、高額物件では競争が激しくなっています。
コンドを借りたい方 短期賃貸の空室が増えている今は、長期契約の交渉をしやすいタイミングです。「ジョムティエンのビーチ沿い」より「スーパー・カフェに近い便利な立地」の方が空室リスクが低く、生活の質も高い傾向があります。
コンドを貸したい方 短期観光客頼みの戦略は厳しくなっています。年間契約の長期入居者を確保する方向に切り替え、物件周辺の生活インフラ(スーパー・交通)を積極的にアピールすることが有効です。
まとめ
パタヤの不動産市場は今、「投資目的の中国人」から「居住目的のロシア人・長期在住外国人」へと静かに重心が移っています。この構造転換は、実際に住んで使うための物件を探している在住日本人にとって、むしろチャンスの側面もあります。次の大きなカタリストは2026年末に迫る既存ライセンスの失効と、EEC外国人購入枠拡大の政策動向です。引き続きお伝えします。
参考:The Pattaya News / AMS Market Report June 2026(https://thepattayanews.com/2026/06/09/pattaya-condo-real-estate-june-market-update-by-ams-the-retreat-of-chinese-buyers-the-rise-of-the-russian-demographic-and-market-consolidation-highlighted-by-the-low-season/)