タイで公務員の採用取り消し?——地方公務員試験の大規模不正が発覚、6,000人超に不正の疑い

タイの官僚制度を根底から揺るがす大スキャンダルが明らかになっています。2025年度の地方公務員採用試験で組織的な答案改ざんが行われ、採用済みの約1万5,000人のうち6,000人超に不正の疑いがかかっています。アヌティン首相は「不正が確認された合格者は採用取り消しも辞さない」と明言しており、タイSNSでは「#โกงสอบท้องถิ่น(地方試験不正)」が連日トレンド入りしています。

何が起きたのか

2025年12月7日に実施された地方公務員採用試験(全国の地方自治体・地方行政機関向け)で、答案用紙を不正に書き換え、お金を払った受験者を合格させるという組織的な犯罪が行われていました。

全国から約40万人が受験し、87職種・6,669ポストに対して約1万5,000人が採用(合格)されました。しかしその採用者のうち、NACCの最新発表では6,016名が不正容疑者リストに挙がっています。

試験を受託したのはシーナカリンウィロート大学(มศว)で、契約金額は1億3,300万バーツ。出題・印刷・試験管理・答案保管まで一括して担当していたことが、不正を可能にした一因と指摘されています。

発覚の経緯

「自力で受験したのに落ちた」という正規受験者からの告発を受け、CIB(警察犯罪捜査局)とNACC(国家汚職防止委員会)が捜査を開始。3日間の張り込みの後、2026年6月22日にノンタブリー県の民家を急襲しました。

現場では答案用紙の改ざん作業が進行中の状態で発覚。押収されたのは——

  • コンピューター・CPU:18セット
  • 答案用紙:1,884箱・約86万枚(全国の受験者のもの)
  • 改ざん対象者のリスト
  • 現場には地方公務員約10名が作業中

驚きの規模

  • 不正確認者数:採用済み約1万5,000人のうち約5,000名以上に得点操作の異常を確認(内務省副大臣発表)、さらに精査で6,016名が容疑者リストに(NACC発表)
  • 手数料の相場:職種により35万〜80万バーツ
  • 被害総額45億バーツ超

なぜ繰り返されるのか

Naew Na・Thai PBSの詳細報道によると、背景には構造的な問題があります。

かつて地方公務員採用は各自治体が独自に行っていましたが、コネや不正が横行したため2017年に中央集権化し、外部機関への一括委託方式に変更されました。しかし今度はその外部委託先の大学が不正の温床になるという皮肉な結果に。今回の受託大学は出題から採点・答案管理まですべてを担っていたため、内部で不正が完結しやすい構造になっていました。

各メディアは「過去最大級の公務員汚職事件」と報じており、タイ国民の行政への信頼を大きく揺るがす事態となっています。

アヌティン首相が強硬姿勢

6月23日、アヌティン首相は緊急声明を発表。「不正が確認された採用試験の結果はすべて取り消す。すでに採用・配属された者も例外ではない」と明言し、「これは国を傷つける行為だ」と強い言葉で非難しました。

現在、NACC・CIB・検察・内務省・人事委員会(ก.พ.)・会計検査院の6機関が合同で捜査を進めています。

今後——2026年試験から顔認証導入

人事委員会(ก.พ.)は2026年度の一般公務員採用試験の規則を緊急改定。
受験者が事前に写真をシステムにアップロードし、試験当日に3か所のチェックポイントで顔写真と本人を照合する新ルールを導入するようです。