米国の調査機関「U.S. News & World Report」が公表した「Best Countries 2026 – Best Countries for Starting a Business(起業しやすい国)」で、タイが世界27位・アジア7位にランクインしました。
ランキングの概要
タイ政府副報道官ラリダー・ペルスウィワタナー氏が、U.S. News & World Reportの「Best Countries 2026」ランキングを引用し発表したもので、タイが起業しやすい国として世界27位・アジア7位に評価されたと述べました。
このランキングは85カ国を対象に73の属性を調査したもので、調査は2025年後半から2026年初頭にかけて33カ国の15,131人の成人を対象に実施されました。経済パフォーマンス・ガバナンス・インフラ・ビジネス機会・投資環境など複数の要素を総合的に評価しています。
タイの強みとして評価された4つのポイント
今回のランキングでタイが評価された強みは以下の4点です。
①堅固な製造基盤:自動車・電子機器・食品加工など幅広い製造業が集積しており、特に東部経済回廊(EEC)への投資が続いています。
②地域サプライチェーンへの統合:ASEAN・RCEP(地域的な包括的経済連携)のハブとして、中国・インド・欧州市場への橋渡し役を担っています。
③発達したインフラ:空港・港湾・高速道路・デジタルインフラが整備されており、物流コストが相対的に低い水準に保たれています。
④将来産業への対応力:EVモビリティ・デジタルサービス・ヘルスツーリズムなど次世代産業への移行が進んでいます。
アジア内でのタイの位置づけ
世界27位・アジア7位という数字は、他のアジア主要国との比較でどう見えるのでしょうか。U.S. Newsのランキングでは日本・韓国・シンガポール・中国・香港などが上位に位置する中、タイがアジア7位に入ったことは、ASEAN内では非常に高い評価を受けていることを示しています。
なおタイのAI活用に対する前向きな姿勢も注目されており、タイ国民の85%以上が「AIのメリットはリスクを上回る」と回答しており、世界でも最も高い水準のAI楽観主義を示しています。これはデジタルビジネスを展開する起業家にとっての追い風にもなっています。
現実との「ギャップ」——課題も正直に整理する
ランキングの明るい結果とは別に、外国人起業家が実際にタイでビジネスをする際に直面する課題も整理しておきます。
外国人事業法(Foreign Business Act)の制約 小売・卸売・農業・建設・観光など特定業種は外国人の参入が制限されており、タイ人パートナーとの合弁会社設立や、BOI(投資委員会)の恩典を活用した特例申請が必要になります。
ノミニー問題のリスク 6/18の記事でお伝えしたように、タイ人名義人を使ったノミニー構造は現在、全国一斉摘発の対象になっています。「グレーな方法」で起業することのリスクは今まで以上に高まっています。
労働許可証(ワークパーミット)の壁 外国人が実際に業務に従事するには労働許可証が必要で、取得には一定の条件(タイ人雇用数・資本金など)を満たす必要があります。
まとめ
シラチャ・パタヤ周辺では日本人が経営する飲食店・サービス業・コンサルティング会社が数多くあります。世界27位という評価は、タイが日本人にとってビジネスを始めやすい国である客観的な証拠のひとつといえます。
一方でランキングは「制度と環境の評価」であり、実際のビジネス成功には法律の遵守・現地パートナーとの関係構築・市場理解が不可欠です。起業を検討している方は、BOI(投資委員会)のウェブサイト(boi.go.th)や日本人対応の法律事務所への相談を早めに行うことをおすすめします。
今年10月にはバンコクでIMF・世界銀行年次総会が開催予定で、タイの国際的なプレゼンスはさらに高まる見込みです。このタイミングでタイのビジネス環境が世界から注目される機会が増えており、パタヤ・シラチャでビジネスを展開する日本人にとっても追い風になりそうです。
参考:Bangkok Post(https://www.bangkokpost.com/business/general/3278609/thailand-among-the-best-in-asia-for-business)、U.S. News & World Report Best Countries 2026(https://www.usnews.com/news/best-countries)、Knowledge at Wharton(https://knowledge.wharton.upenn.edu/special-report/best-countries-index-2026/)