中東情勢の影響で観光客数が伸び悩む中、タイの観光収入が着実な回復を見せています。政府副報道官プロイタレー氏が6月11日に発表した最新データによると、**2026年1月1日〜6月7日の外国人訪問者数は1,451万5,978人、累計観光収入は7,013億5,800万バーツ(約208〜210億米ドル)**を記録しました。
「数は減っても収入は増えた」——5月の逆転現象
特に注目すべきは5月のデータです。
5月の観光収入は1,080億バーツに達し、前年同月比12.77%増を記録しました。これは訪問者数の伸び(前月比3.54%増)を大幅に上回るペースで、旅行者1人あたりの消費額が明確に増加していることを示しています。
5月のトップ5市場はマレーシア・中国・インド・ロシア・シンガポールでした。
累計データで見るタイの観光の今
1〜6月7日の累計では、中国が2,386,714人でトップ、マレーシア1,839,151人、インド1,103,945人、ロシア964,670人、韓国552,621人と続きます。
一方で2026年最初の5か月間の外国人訪問者数は前年比2.3%減となっており、数字だけを見れば厳しい状況が続いています。
「量より質」戦略が機能している
なぜ訪問者数が減っているのに収入が増えているのか——答えはTATが昨年から推進してきた「Value over Volume(量より質)」戦略にあります。
訪問者数は減少したものの、観光収入は最初の5か月で約679億バーツにとどまり、2025年比で2.5%の減少にとどまったという分析が示す通り、旅行者の「質」が向上しています。欧州からの旅行者が減少した一方で、ロシア・インドなどの高消費旅行者が増加したことが収入を支えています。
年間目標の達成可能性は
TATは2026年の通年目標として3,300万〜3,670万人の外国人訪問者と2.78兆〜3兆バーツの観光収入を設定しています。
現在のペース(1〜6月で1,451万人)を単純換算すると年間2,900万人前後の着地が見込まれ、数字ベースの目標達成は難しい状況です。ただし収入ベースでは1人あたり消費の増加が続いており、「訪問者数は少なくとも収入は確保する」という展開も十分あり得ます。
パタヤへの影響——チョンブリは底堅い
バンコク・プーケット・チョンブリ(パタヤ)の3都市は2024年上半期だけで8,430億バーツの観光収入を生み出したという実績が示す通り、パタヤは引き続きタイ観光の主要エンジンのひとつです。
5月の最大市場にロシアがランクインしていることは、パタヤ在住者が日常的に感じている「ロシア人の増加」とも一致します。また5月の日本人訪問者は前週比105%増(5/13の記事参照)と急増しており、パタヤの日系飲食店・サービス業にとっては追い風が続いています。
今の「タイの観光はダメだ」という印象があるかもしれませんが、数字を見ると「客の質が上がっている」という実態が浮かび上がります。物価高・中東情勢という逆風の中でも、パタヤを含むタイの観光地は底堅い需要を維持しています。
参考:The Pattaya News(https://thepattayanews.com/2026/06/11/thailands-tourism-sector-maintains-resilience-amid-modest-year-on-year-dip-says-thai-government/)