ワンライで賑わうパタヤビーチの裏で、タイ経済に厳しい数字が出ています。国際通貨基金(IMF)が4月14日に発表した「世界経済見通し(World Economic Outlook)2026年4月版」で、タイの2026年実質GDP成長率予測が1.5%に引き下げられました。ASEAN主要国の中で最も低い数字です。
なぜ下方修正されたのか
IMFは今回の見通しを「戦争の影の中の世界経済」と題しており、修正の最大の原因は中東情勢です。2月28日に始まった米・イスラエルのイランへの攻撃に対し、イランがホルムズ海峡を封鎖したことで、世界の石油・LNG供給の約20%が遮断されました。
タイへの影響は三重苦です。
①石油輸入コストの急騰、
②欧州・中東からの観光客の激減(航空路線の大幅削減)、
③輸出の鈍化
——これらが重なり、当初1.6%と見込まれていた成長率がさらに削られました。ADB(アジア開発銀行)も同様に1.8%と予測しており、複数の国際機関がタイ経済の苦境を指摘しています。
ASEAN各国との比較
IMFの同レポートによると、2026年の東南アジア主要国の成長率予測はおおむね3〜5%台が並ぶ中、タイの1.5%は際立って低い水準です。カンボジア・ラオス・ミャンマーといった途上国より低い数字というのは、タイ経済の構造的な問題——高い家計債務(GDP比88%でASEAN最高水準)、輸出の停滞、観光業への過度な依存——が中東ショックで一気に表面化した形です。
「悪化シナリオ」ではさらに厳しい
IMFは今回、3つのシナリオを提示しています。
①基本シナリオ(紛争短期終結・エネルギー価格19%上昇)でグローバル成長3.1%、
②悪化シナリオ(紛争長期化)でグローバル成長2.5%、
③最悪シナリオ(来年まで混乱継続)でグローバル成長2.0%。
タイは原油輸入依存度が高く、観光業への依存度も高いため、悪化シナリオではさらなる下振れリスクがあります。
まとめ
数字の話は難しく聞こえますが、身近なところでは「物価の高止まり」「バーツ安」「日本食材・輸入品の値上がり継続」として実感されている方も多いと思います。タイバーツは円に対しては日本の低金利もあって比較的安定していますが、対ドルでは下落傾向にあり、ドル建て収入のある方には有利、バーツ建て生活費が主な方には厳しい状況が続きます。
停戦交渉の行方と燃料価格の動向が、タイ経済の今後を左右する最大の変数です。引き続きお伝えします。


